酒類の販売業を行う前には、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長から酒類販売業免許を受けなければなりません。この申請についてまとめました。
(酒類の製造免許についてはここでは述べていません)
申請手続きの流れ
申請書の提出 ▶︎ 審査 ▶︎ 免許付与等の通知 ▶︎ 登録免許税納付 ▶︎ 酒類の販売開始
申請から許可までに通常要する期間は、2ヶ月以内とされています。
免許の酒類と登録免許税
申請には手数料は不要ですが、酒類の販売業免許1件につき登録免許税が課税されます。
主な免許の種類と登録免許税は以下の通りです。
- 一般酒類小売業免許(3万円):所在する都道府県内の消費者等のみを対象として酒類の店頭小売を行うことができる
- 通信販売酒類小売業免許(3万円):2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象とし、カタログやネット通販ができる
簡単に言うと通販を行うかどうかによって、免許の種類が変わります。
店頭販売とネット通販を両方行いたい場合、一般酒類小売業免許と通信販売小売業免許を同時申請する必要があります。この場合、登録免許税は6万円ではなく3万円に緩和されます。
提出書類
- 酒類販売業免許申請書
- 販売業免許申請書次葉1〜6(図面や収支計画などについて記載)
- 酒類販売業免許の免許要件誓約書
- 住民票写し(法人は登記事項証明書・定款)
- 土地、建物、設備等が賃貸借の場合は賃貸借契約書等のコピー、その他契約書等のコピー
- 地方税(申請者が法人の場合
は、「地方法人特別税」を含む)の納税証明書
- 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表
- 土地及び建物の登記事項証明書
- その他税務署長が必要と認めた書類
- 申請書等チェック表
- 申請者(申請者が法人の場合、監査役を含む役員全員)の履歴書 ※上記免許1のみ
- 販売場を設置しようとする場 所、販売する酒類を説明した書類 ※上記免許2のみ
提出先は、販売場の所在地を所轄する税務署です。相談先はその税務署の酒類指導官又は法人課税部門(担当)です。
提出書類が多いため、余裕を持って準備しましょう。行政書士は納税証明書や登記事項証明書の代行取得が可能ですので、ご自分で準備するのが難しい場合には依頼してみるのも良いかもしれません。
酒類小売業者の義務(酒類業組合法、酒税法)
◎酒類販売管理者
酒類小売業者には、以下の義務があります。
- 酒類小売業免許を受けた後遅滞なく、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任する
- 選任から2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を提出する
- 酒類販売管理者に、前回の受講から3年を超えない期間ごとに酒類販売管理研修を受講させる
◎標識の掲示
酒類小売業者は、酒類の小売販売場ごとに、公衆の見やすい場所に、次の①から⑤を記載した標識を掲げなければなりません。カタログやインターネット等を利用した通信販売を行う場合、カタログ等に酒類販売管理者の氏名や販売管理研修の受講事績等を見やすい場所に表示します。
①販売場の名称及び所在地 ②販売管理者の氏名 ③酒類販売管理研修受講年月日
④次回研修の受講期限(3の3年後の前日) ⑤研修実施団体名
◎表示基準の遵守
酒類小売業者は、二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を遵守しなければなりません。具体的には「未成年者の飲 酒は法律で禁止されている」又は「未成年者に対しては酒類を販売しない」など表示をする必要があります。
◎記帳と申告
酒類の仕入れや販売に関して記帳しなければなりません。また、酒類の品目や販売数量等は毎年度、住所等の変更や販売業の休止などは都度、所轄税務署長に申告等を行う必要があります。
その他、酒類販売業者は社会的要請(公正取引の確保など)への適切な対応も求められています。
また以前許可の取消処分を受けた場合や、国税又は地方税の滞納処分を受けた場合には、人的要件に抵触する可能性がありますので、細かく確認しなければなりません。
(参考)
0コメント